1.29.2023

「美しい距離」

  聡明で仕事熱心な妻と、冷静で内省する夫がゆっくりと離れる個の物語。
“だから、人と人との距離はいつも離れ続ける。離れよう、離れようとする動きが、明るい線を描いていく。”

1.09.2023

"CODA"「コーダ」

 ベストシーン。
                            公式HPより

フランス映画「エール!」のリメイク。
ハイティーンの主人公だけでなく、両親兄含めた家族の自立の物語。
ジョニ・ミッチェルは偉大。

1.02.2023

「初期仏教 ブッダの思想をたどる」

  仏教誕生(紀元前5世紀頃)前、インドに進出して農耕社会を築いたアーリア人が信仰していた「ヴェーダ」祭式が社会秩序を維持していた。農耕社会による人口増加や当時ペルシア帝国からの鉄製製技術の伝達により開発が進み、国家が複数成立していく。富裕層の台頭を背景として、家庭や労働を放棄した出家僧≒新たな思想家たちが生まれていく。そのうちの一つであった仏教は、「生天論(天界への再生を目指す)」「要素論(人間は諸要素の集合にすぎない)」「解脱論(輪廻からの解脱を目指す)という点では他の思想と同じだったが、再生への条件とされていた祭式や、輪廻から解脱する方法だった苦行を必要ないかたち(贈与と習慣)に組み替え説いている。また、「行為」の原動力としての「意思」に焦点をあてたところに独自性があった(意思の自由がないところには行為の善悪は成り立たない)。あくまで自分で自分の行為を律することが大事で、共同体の秩序に従うとか、神の命令に従うといった他律性はない。このような行為論に立って当時の社会思想を転換し、為政者の正当性を行為そのものに求めた。

 ブッダは「法と律」を師とするよう遺言し、「法と律」こそが正当な仏典であると位置付けられた。
 法:「四阿含(しあごん)」。ブッダが教えを解く物語形式の散文。
 律:「経分別(きょうふんべつ)」出家者の生活規則を解説する。「犍度部(けんどぶ)」出家教団の運営方法を規定する。
 遅くとも紀元前後には、律に伝わる「布施」「戒」「四聖諦(ししょうたい)」「縁起」「五蘊(ごうん)」「六処」は成立していた。

 紀元前3世紀、南アジアの大半が統一されマウリヤ帝国が建設され、最盛期を築いたアショーカ王は仏教を信仰したが、他宗教を弾圧することはなく、マウリヤ帝国崩壊(紀元前2世紀初頭)後、インドは西方から大きく影響を受けることになる。
 仏像:紀元前は菩提樹や仏塔がブッダの象徴だったのに対し、1世紀になるとヘレニズム文化の影響を受けて仏像が製作されるようになる。
 僧:紀元前は基本的に遊行生活が前提だったのに対し、紀元前1世紀になると海上交易が隆盛し富を得た商人階級が寺院へ寄付することで出家集団は資産を運用する組織へ変わっていく。
 教え:恒常の寺院ができることで仏典は口承から写書へと変化した。