大企業 30%(1980)→ 約16%(2020)
中堅企業 30%(1980)→ 約14%(2020)<2020年頃大企業を逆転
中小企業 30%(1980)→ 約27%(2020)<90年度後半をピークに下降
企業の貯蓄投資差額(全規模)
・95年を境に貯蓄超過。実物投資は91年がピークで00年代以降横ばい。
・世界的に無借金企業の割合は増加。日本の無借金企業は、必要な時により多く借入れるために無借金なのではなく、借入額を減らすために無借金にしている。無借金企業は新たに借入する(金融機関と関係を構築する)にはコストがかかる。
債務超過企業比率
・90年代後半をピークに減少傾向の大・中堅企業に比べ、中小企業は90年代後半から横ばい。
・一方ゾンビ企業は、増加傾向にある世界に比べ、日本は10年代以降減少傾向。ゾンビ企業からの脱却の多くはコスト削減による。
企業間の資金再配分
・日本では不況期になるほど小さくなる。不況期に銀行と企業間の関係が切られるのではなく、これまでの貸出契約が継続される傾向が強い=中小企業の資金減少が大きくならない(有利子負債を減らさない)。
資金再配分の効率性
・不況期では、生産性が高まっても有利子負債の伸び率は低いまま。特に業況判断が悪い時期は、生産性が低いほどその企業への資金配分が増加。
・金融支援を受けている企業では高生産性企業から低生産性企業へ資金が移動する傾向。規模別で見ると、中小企業の資金再配分の効率性は低いまま。
地域間の資金配分と効率性
・ネットでは地方から東京での貸出のために預金が流出している。ただし、ここ数年は地元県内での資金の流れが増えており、大手行は預金を集めた地域内で貸出す傾向を強めている。
・企業の利益率が高まる地域に対して低い地域から預金がが多く流れる一方、生産性が高まる地域から低くなる地域へと資金が移動。大都市圏では生産性の低い地域に資金が流れ、それ以外の地方圏では生産性が高まる地域に資金が流れる。
・地価が下落している地域から上昇している地域に資金が流出する傾向。
・貸出市場での集中度が低い地域に対して高い地域から資金が流出する傾向。
中小企業金融における政府による関与
・中小企業の資金繰りを改善する一方でパフォーマンスには負の効果を及ぼすことが多い。
・貸出後における企業の経営改善(事業再生)の取組を積極的に行うべし。
1.直接的な資金供給
・日本政策金融公庫、商工組合中央金庫による直接貸出
−成功確率が高くなっても借入額や投資額の増加程度が逓減しない。
−不況期に利用が高まる。
−成長率・収益性が高く自己資本比率が低い中小企業が利用(民間金融機関と異なる)。
−民間金融機関の貸出増加が同時に見られることもある。
−利用企業は資金調達環境が改善し、設備投資が行われている。
−民間金融機関より低金利だが、金利変化によって民間貸出から公庫貸出に代替されてはいない。
・中小企業基盤整備機構機構による直接貸出
・中小企業投資育成株式会社による投資
2.間接的な資金供給
・信用保証協会の信用保証
−成功確率が低い部分で借入額や投資額の増加額が大きい。
−ただし、業績の改善程度は非利用企業を下回る。
・中小企業基盤整備機構機構による民間ファンドへの出資
・日本政策金融公庫による貸出債権の証券化支援
・金融庁、日本銀行による金融機関への公的資金注入
3.特定の政策目的実現のための制度整備
経営者保証に関するガイドライン、中小企業再生支援協議会(事業再生計画策定支援件数はまだまだ少ない)、地域経済活性化支援機構、地域金融機関向けの監督指針、中小企業金融円滑化法(2009-2013)
個人保証や担保に依存しない中小企業金融
・第三者保証や担保の利用率は大きく低下したが、経営者本人による個人保証への依存度は高いまま。
・無担保貸出によって、有形固定資産を持たない企業は借入だけでなく投資や売上高も増加(財務健全性は低下)。
・無保証人貸出は、格付け良好でリスクの低い企業が選ぶ傾向。
貸出市場の集中度
・近隣に金融機関が多いほど、企業の交渉力は強くなる。
・集中度は地方圏で高く、大都市圏では水準が低下(二極化)。
・金融機関数の減少だけでなく、金融機関のシェアのバラツキの拡大が大きく影響。
・金融機関の合併で集中度は高まるが、時間と共に減退。
・集中度が高まると企業の借入金利は徐々に上昇。
金融機関の合併
・2006年のメガバンクの合併は取引先非上場企業における金利上昇幅を高め、借入金比率の低下幅を大きくした(合併行が他行の低金利に追随しなかった?)。
・2004年以降の合併効果は、合併行と取引していた企業の資金調達環境は平均的には改善(上記メガバンクの結果は例外的)。
・2010年代の合併では、取引先企業の借入金比率の上昇幅が大きくなる傾向。合併行の貸出姿勢はむしろ積極化。
提言
・ゾンビ企業を減らし生産性の高低に沿った資金配分のためには、経営状況の良くない中小企業が早期に事業再生に踏み切る必要がある。事業再生という言葉の負の印象の払拭が重要。
・生産性高低と反対の地域間資金配分を改善するためには、地域金融機関同士の連携や合併が有効ではないか。
・政府による支援は、資金供給後にパフォーマンスの低い企業への経営改善や事業再生に注力し、資金繰り措置の提供期間を可能な限り限定すべき。民間金融機関等の先進的な取組(コミットライン契約、BCP、フィンテック等)を阻害する可能性があるため。
・金融機関は、密接な取引関係に基づく商品・サービスに金利や手数料を払ってくれ企業との関係構築・意地に経営資源を集中すべき。一定規模以下の企業との間では、割り切ったサービスを考えた方が良い。